Gokigen Weekly Report

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ごきげんウィークリーレポート


●バックナンバー(2001年11月)

〜2001年11月19日

DLKP(Deep Lamellar Keratoplasty)という手術がある。角膜のデスメ膜一枚残してあとのすべてをとりかえる高度のテクニックが必要な手術である。慣れない先生がやるとゆうに2時間くらいかかってしまう手術だが、僕は最近さらに開眼して1時間以内で終わるようになった。21日水曜日も7件の手術のうち2件がDLKP。2つの手術ともとても早くうまくいき超ごきげん。次の日の回診でもとてもきれいで超ごきげん。DLKPは拒絶反応がないのでとてもいい手術だが難しいのが難点だった。東京歯科大学眼科では島崎潤助教授、榛村重人講師という二人の素晴らしい角膜サージャンがいるので、僕も含めて3人でいろいろと手術の工夫をしている。これが進歩の秘訣だと思う。なかなか一人では進歩が遅い。でも3人寄れば文殊の知恵。なんでもみんなの力で進歩していくんだね。

2001年11月5日〜11月18日

この2週間はとても充実。前だったら忙しいという言葉を使っていたんだけど、もう僕は“忙しい”“疲れた”という言葉は使わないことにした。どちらの場合も“あー、今日は充実したなー”と表現することにしている。
11月7日からアメリカ眼科学会に出席のためニューオーリンズまで飛んだ。テロの影響もあって飛行機はすいていた。アメリカ眼科学会は文字通りアメリカの眼科医が作ったんだけど、今では国際学会に等しく世界に開かれた学会になっている。参加者の40%が外国人だ。
さまざまな専門別学会も同時に開催されて

1) ISRS (International Society of Refractive Surgery)
2) Castroviejo Cornea Society
3) IOSS (International Ocular Surface Society)

の3つの理事をしているので理事会に参加して自分の意見をたくさん述べた。日本語で会議をやっているとどうも僕でも遠慮してしまったりすることがある。でもおもしろいことに英語だと何でも言える。そういう言葉なんだねきっと。言わなければその人は何も考えていないのに等しい。と本当に思われてしまうから恐怖が言葉を出させるのかも知れないけど。やっぱりばかだと思われたくないもんね。

数年前からアメリカ眼科学会で"Management of Dry Eye" "Ocular Surface Reconstruction"のインストラクションコース(教育講演)をやっている。これはアメリカ人を初めとして世界各国から来ている眼科医の先生に自分の専門領域を教育するコースだ。参加者は数十ドルの参加費を払うので講演は評価が低いと打ちきられてしまう。幸い僕のコースはいつも評価が高く、すでに8年くらい続いている。テーマはドライアイとオクラーサーフェス。今年はテロのために参加者が少なかったらどうしようと思っていたがどちらのコースもほぼ満席。すばらしいリスポンスがあったのできっといい評価を得たに違いない。ほっとひといき。

帰る前の日にニューヨークでアメリカン航空がまた落ちて大ショック。僕の便はアメリカン航空だったのでした。空港ではチェックインに2時間もかかってやっと乗り込めた時はくたくた。本当は肉体が酷使されたので乳酸が筋肉に生じててやや不快感があるはずなのに(疲れという言葉をとことん回避している)、成田に着いた時は生存しているだけで感激した。そういうものですよね。

2001年11月5日

今週の初めはオーストラリアのアドレイドで過ごした。オーストラリア&ニュージーランド合同眼科学会の特別講演を頼まれたためである。課題は「オクラーサーフェス医学の最近の進歩」。ドライアイからスチーブンジョンソン症候群の治療まで新しい話をたくさんしてとても受けた。今年の4月からプレゼンテーションにバイオコンピューターを使っているけど本当に便利になった。昔は全部スライド。いちいち順番を考えたり大変だったけど、今は講演の数分前にちょこっと整理するだけでできるようになって感激。ソニーはすごい。前の晩にあったパーティーでシャンペンで乾杯しているところの写真をすぐに使えてしまうんだから便利だ。このシャンペンは僕が初めて飲んだ赤のシャンペン。アドレイドの自慢だそうである。

で、次の日はなぜか動物園でカンガルー見ながらシャンペンで乾杯だからね。

最後の日(といっても2泊だけど)、は眼科専門試験に受かった若い先生の卒業式が荘厳に行われて出席した(写真●準備中●は会場。かっこいい)。結構感激。オーストラリアでは眼科医がたった300人しかいなくて、毎年20人くらいしか眼科医にならないからとってもファミリーな感じで新しい仲間を迎え入れていた。日本では毎年300人も眼科専門医になるからこういうセレモニーは難しいか。

土曜日には日本スポーツ医学学会で「スポーツと近視手術」という題でシンポジウムに出させてもらってとても刺激を受けた。実際僕はプロゴルファーの選手やプロ野球選手などたくさん手術させてもらっているけど、どのくらいスポーツに有利になったのかを医学的に研究してこなかった。ここらへんは研究しないといけないと強く感じた次第である。スポーツビジョン研究会の代表をしている真下一策先生にお会いできていろいろお聞きすることができた。よーし、これからLASIKでどうしてスポーツに有利なのか真剣に研究しよう!